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在宅医療を提供してくれる医療機関の違い(在宅療養支援診療所ってなに?)

  • 在宅医療を頼める主な医療機関は、24時間365日対応する地域の在宅療養支援診療所
  • 一般の在宅療養支援診療所よりも医療機能を充実させた機能強化型在宅療養支援診療所もある

 

家族の在宅医療(訪問診療)を望んだ時、今まで通院していた病院やクリニックの先生が、自宅まで診療に来てくれればいいのですが、在宅医療をしていない場合もあります。

大学病院などの大きな病院では、まず100%不可能でしょう。

その場合は、病院の医療相談室や医療連携室のソーシャルワーカーさんなどに自宅の近くにどんな医療機関があるのか聞いてみましょう。

または、インターネットで調べてみましょう。

その時には「在宅療養支援診療所」を検索ワードに追加してみて下さい。

例えば

>Google ⚪︎⚪︎市 在宅療養支援診療所

そうすると、あなたの住んでいる地域にある在宅療養支援診療所を探すことができます。

 

では在宅療養支援診療所とはどんな診療所なのでしょうか?

在宅療養支援診療所とは、訪問診療を行うことのできる医療機関のことを指します。

実際には、在宅療養支援診療所は次の要件を満たしていることを、厚生労働省に届け出しなくてはいけません。

平成26年度末において厚生労働省に届けられている在宅療養支援診療所の数は14,662ヶ所で、その定義は

  1. 診療所であること
  2. 24時間連絡をうける医師または看護職員をあらかじめ指定し、連絡先を文書で患者に提供していること
  3. 患者の求めに応じて、自院または他の医療機関、訪問看護ステーションと連携し、24時間往診・訪問看護ができる体制を確保していること
  4. 患者に対して、24時間往診・訪問看護を行う担当医師・担当看護師などの氏名、担当日などを患家に文書で提供していること
  5. 緊急入院受け入れ体制を確保していること(他の医療機関との連携でもよい)
  6. 在宅療養について適切な診療記録(カルテ)管理がなされていること
  7. 地域の介護・福祉サービス事業所と連携していること
  8. 年に一回、在宅看取りした方の人数を地方社会保険局長に報告をしていること

です。

つまり在宅療養支援診療所とは、患者や家族と24時間365日連絡がつながり緊急にも対応してくれる診療所です。

在宅療養支援診療所は、住み慣れた家や地域での療養生活を支えたり、あるいは親しい人たちに暖かく見守られてお家でのお看取りに対応できる診療所です。

 

その在宅療養支援診療所には、一般の在宅療養支援診療所よりも医療機能を充実させた機能強化型在宅療養支援診療所というものがあります。

在宅医療を担当する常勤の医師が一つの診療所に3人以上いる単独型の機能強化型在宅療養支援診療所と、他の医療機関と連携して在宅医を3人以上確保する連携型の機能強化型在宅療養支援診療所の2種類があります。

過去1年間の緊急に往診した件数が10件以上あり、過去1年間の在宅で看取った方の人数が4人以上(単独型)または2人以上(連携型)いるという、在宅医療の経験・実績がある診療所です。

 

全国の在宅療養診療所を結び、日本の在宅医療の普及・発展を図る目的で一般社団法人全国在宅療養支援診療所連絡会(http://zaitakuiryo.or.jp/)があります。

このサイトには全国の在宅療養支援診療所の情報がありますから、参考にしてみて下さい。